キャリアを考える、サイエンスとアート
いろいろなところから「世界のエリートはなぜ『美意識』を鍛えるのか?」(山口周、光文社新書)が面白いよ、という話を伺うので読んでみました。本筋のところは実際に読むか、ほかの書評を参考にしていただくとして、サイエンス(ここでは論理的、理性的な考え方、筋道、といったように使われているように思います)だけではなく、アート(同様に、ここでは直感的、直観的な考え方、筋道といったように使われていると思います)も重要であり、サイエンスに偏重しすぎるのではなく、アートにも目を向け、それを活かすべきであろうという点は、キャリアを考える上でも言えることかと思います。
選択肢とその判断根拠となる情報が準備されているのであればサイエンスに基づいて考えることもできますが、キャリアは未来志向ですから、そもそもすべての選択肢を準備することはできません。できるのは現時点で分かる範囲の選択肢です。ましてや、それぞれについて検討するための情報となると、揃えるだけでも大変。しかも、この情報はあくまでも「これまでの話」、つまり過去のものです。将来もそうであるとの保証はありません。結果的によりどころとなるのは真/善/美、アートからのアプローチなしには行き詰まってしまいます。
さらに大切なのは、この真/善/美が、自分にとってのものであると同時に、自分に関係する第三者、そして社会にとっての真/善/美でなければ、サステナブルではなくなってしまうということです。
この本自体は経営という観点からのお話でしたが、キャリア開発という観点でも大いに示唆のある本ではないかと思います。
追記
アートという観点からキャリアを考えようとするとき、自分にとっての真/善/美は何か、ということに目を向けるわけですが、これは内的キャリアと重なるところは当然多いでしょう。
そして、これにめをむけるには、やはり相応の環境(物理的環境と心理的環境)は欠かせません。キャリア開発ワークショップはそれを提供する場とも言えます。